技工士の仕事についてインタビューしました。
歯科技工士を目指したきっかけは?
歯科技工士を志す方の多くは高校卒業後に技工士の専門学校に通われますが、私の場合は一度社会にでてサラリーマンを経験してから技工士の道に進みました。このお話をすると皆さん疑問に思われるのですが、以前に私が病気を患い、自分の仕事を見つめ直したときに「形に残る仕事がしたい」と思い立ったことが大きなきっかけです。
当時、私は事務職をしていたのですが、自分にしかできない仕事という認識を持てずに、目に見えて形になる技工物を作製することこそが形に残る仕事であり、目に見えて誰かのために貢献できると思い、大きなやり甲斐に感じたのです。
病気を患ったときには母に苦労をかけてしまったので、何か恩返しをしたいという気持ちもありました。母は歯が悪かったので、「技工士になれば、よく咬める入れ歯を作ってあげられる」というのも、今思えばきっかけだったのかもしれません。
どんなときに仕事のやりがいを感じますか?
先生から「難しい症例があるんですが、お願いできませんか」とお電話で相談を受けたときに、技工士の視点からアドバイスをして、「そういう方法もあるんだ!」と感心していただけたときにやりがいを感じますね。先生もさまざまな勉強をされている歯科のプロフェッショナルです。そのプロに対して、技工士として気づきを与えられたと思うと大変励みになりますし、この仕事をやっていて良かったと思いますね。
ちょっと難しい相談もしていただけることも、先生とコミュニケーションをとっているなかで信頼関係のうえで多少の無理を承知でお話しいただいていると思えると、とてもうれしいですね。期待にお応えしてもっと良いものをつくっていきたいとモチベーションが上がります。
今後どのようなことをしていきたいですか?
今ではCAD/CAMを使って歯科技工物を作製するのが主流になりつつありますが、私が技工士になったときはハンドメイドが中心でした。ハンドメイドの難しさを痛感していたので、はじめてCAD/CAMに触れたときにはとても感激したことを今でもよく覚えています。
ハンドメイドを否定するわけではないのですが、技工士も年を重ねるにつれて、できる仕事が体力的にも限られてきます。しかし、CAD/CAMならネットを使ってラボのパソコンを遠隔操作して技工物の設計やデザインができます。
こうした作り方には賛否両論がありそうですが、私はデジタル化した現代ならではの新しい働き方に可能性を感じています。そうした働き方ができれば、女性技工士の復帰も手伝えるのではないかと考えています。技工士の数が少ない今、技工士免許を持っていて現場復帰を望む方と人材不足に悩む歯科技工所の架け橋になれたら、こんなにうれしいことはありません。
歯科技工の業界についてインタビューしました
CAD/CAM冠が保険適用され、歯科技工業界はどのように変化しますか?
大きく変化すると思います。特に小さな技工所や技術力の乏しい技工士は、何かしらの工夫や改善をおこなう必要があるでしょう。
CAD/CAM冠が保険適用されたことにより、需要は高まっていくはずです。しかし、CAD/CAMの設備導入には1,000万円以上の費用がかかるため、小さなラボが機器をすぐに採用することは困難でしょう。その結果、自費治療で依頼された技工物しかつくれず、仕事自体が減ってしまうことが懸念されています。
また、今後はCAD/CAMの導入を開業時からおこなう必要もでてくるため、歯科技工所の新規参入も非常に難しくなるのではないでしょうか。
今後、歯科技工所が生き残っていく為にどんな工夫が必要ですか?
歯科技工所同士の連帯を強め、グループ化する必要があると考えます。設備投資ができる大きな技工所や自費技工物を専門に扱う「匠」と呼ばれる技工士は別ですが、CAD/CAMを導入していないラボは、同業者の繋がりを強めることが大切です。このようなネットワークが構築できれば、設備がない技工所でもCAD/CAM冠の受注のみが可能です。そのため、外部のラボに加工を委託できる体制が整うので、設備費用はカットできます。
こうした状況を踏まえ、デンタルプラッツは平成26年度の歯科診療報酬改定に合わせ、外部からのCAD/CAM冠製作の発注依頼を承っています。そうすることで、拡大していくCAD/CAM冠市場に、今後も積極的に参入していければと思います。
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できるかぎり先生のご要望にお応えしたいと思っています。デンタルプラッツでできることを総動員してお手伝いいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。